家を買うときは、ワクワクとドキドキの連続。
でも私の場合、思わぬ”会社のルール”に振り回されて、ほぼ決めていた家を断らざるを得ない事態に…。
今回は、当時のドタバタと心境を振り返ります。
騒音トラブルがきっかけ
はじまりは、アパートでの騒音トラブルでした。
2LDKのアパートの2階に住んでいましたが、”音に気を付ける”ということが子どもたちにはかなり難しかったようです。
ただでさえ手狭な空間で、物に溢れ、音にも気を付けなければならない。
自分が仕事でいない間、近隣の住人へ迷惑を掛けずに過ごせているのか、精神的に疲弊していきました。
どうしても遅い時間になってしまう洗濯は、洗濯機の音や振動も気になってしまい、毎日近隣への申し訳なさを抱えながら、生活環境の確保がどれほど大切なことかを実感させられました。
ついには子どもたちが階下の住人に直接注意を受けたり、管理会社から手紙や電話が来たり…。
「もうここには長く住めない」と強く感じ、マイホーム探しを始めることにしました。
中古物件の内見と子どもたちの反応
その頃ちょうど近くで中古物件が売りに出ていて、”動かなければ始まらない”と思い、内見に行きました。
築35年。水まわりなどはリフォームされて綺麗でした。ただ、駐車場が狭いところと収納が少なすぎる点がネックになってしまい、加えて子どもたちからは「古くてイヤ」の一言。
やはりどんなに中がリフォームされていても、古さは隠せません。
さらに、新築営業をしている周囲の同僚たちからも「中古は絶対にやめた方がいい」と言われ、気持ちが揺らぎました。
確かに私自身も、新築を営業している身でしたから、いかに「中古はやめた方がいいか」分かっていました。ただその当初、夢を現実する手段は、価格を1,000万円台に抑えることしかないと思っていたのです。
決めたのはローコストメーカーの建売
次に見に行ったのが、ローコストメーカーの建売住宅。
正直、細かい妥協点はいくつもありました。でも、価格を見て、「ここなら現実的だし、もう決めよう」と思えたのです。
仲介先も少し前に仕事でお世話になったところを選びました。担当者もその時やり取りさせてもらった20代の若い女性営業を指名し、そこで私は指し値を出し、「買います」と意思表示。
相手会社も上司に掛け合って承認してくれ、契約に向けて動き出そうとしていました。
そこから一気にひっくり返る
ところが、ここから事態は急転直下。
私が勤めていた会社には「社員は自社物件以外の新築を買えない」という暗黙のルールがあったのです。
上司から言われたのは衝撃の一言。
「社長が一番嫌いなメーカーですよ。もしそこで決めて、あとから知られたらクビになりますよ」
血の気が引く思いでした。
ただ、何とか上司にも協力してもらってこの場を乗り切りたいという気持ちもありました。
お金が絡むことだったからです。
自社物件を買うなんて、当初の自分の予算より遥かに高くなってしまいます。
安易に「わかりました」とは言えませんでしたが、そのまま計画を進めることもできませんでした。
相手営業からの怒りと絶縁
もちろん一番迷惑をかけたのは、相手の不動産会社。
担当の女性営業とは、今回の件で一気に険悪に。
「もう上司の承認まで取ってるんです!今さら断るなんてあり得ません!私からそちらの上司へ連絡させてもらえないでしょうか」
そう言われたときは、「会社を巻き込んで大変なことになる」と思い、怖くてたまらなくなりました。
「あくまでもプライベートなことなので、この件で会社への電話はお控えください」
そう伝え、私はただ平謝りするしかありませんでした。
その後、私がその会社に出入り禁止になったと、周囲から聞かされました。
当然です。相手は仕事でミスをし、上司に酷く怒られたわけですから。
結果的に振り回して終わってしまった私は、今でも申し訳なかったと思っています。
最悪からの逆転
結局私は、空いていた土地を購入し、自社物件を建てることにします。
この、「土地を買う」にも「家を建てる」にもひと悶着ありましたが、このことはまた別の折に触れたいと思います。
あのときは「最悪だ」と思ったけれど、今振り返れば結果的には満足のいく家に住めたのだと思っています。
住宅営業をしていると、「家は価格なり」と常々思いましたが、自身が経験したことそのものだなと思いました。
“掘り出し物件”なんてものはありません。
価格なりの何かが、あるはずなのです。
学びとまとめ
住宅購入は「物件選び」だけではなく、信用や会社のルールにも大きく左右されるもの。
特に会社員の場合、自分の勤務先によっては購入の自由度が制限されることもあります。
あの時の経験は二度と思い出したくないくらいですが。。
「家を買うとは、人生のいろんな立場やしがらみを背負って決断することなんだ」と痛感した出来事でした。
まさか私が新築住宅を購入することになるなんて、住宅営業をしていなければたどり着かなかったと思います。
個々の事情、何に重きを置くのかで選び方は千差万別。
住んだ後が快適であれば、それが正解なのだと思います。
